ゼミ旅行で訪れた岐阜県飛騨市には驚くような伝統的趣向を凝らした建築物がありました。3日間のうち特に印象的だった建築について紹介していきたいと思います。

〇神岡

まち歩きをしていると崖にそびえる、見ているこちらがゾクゾクするような建物を発見しました。実はこの建物、建築法に違反しています。かつて鉱物産業で栄えた神岡町は交通の便を良くしようと道を広げる計画がありました。これに伴って、道沿いの民家に立ち退きを依頼しましたが拒否されてしまいます。しかし背に腹は代えられないと、道を広げた分、家を川の方へせり出して移動させたのです。今は空き家ですが、このような状態で生活していたことを考えると肝が冷えますね。

〇古川

飛騨の匠という言葉をご存じでしょうか。「飛騨の匠文化館」には古くから木材に恵まれ匠の技術を受け継ぐ地元の大工によって建築された建物は、釘が一本も使われていないのが特徴的で、この文化館内にはそんな匠たちの技である「継ぎ木」や「木組み」、「千鳥格子」や「雲形肘木」が展示されており、いかに職人の技であるのかを実際に体験することもできる。

この写真の組み木、どのようにすれば外すことができるかわかりますか。目印の付いた木を持ち上げて中央に横断している木を支えながら縦中央の木を抜き取ることで崩すことができます。学生の中には説明を受ける前に次々と継ぎ木・組み木を解体してしまう人もいましたが、ほとんどの学生は試行錯誤を繰り返してやっとのことで仕組みを理解していました。

このような模様を神社などで見かけたことがある人は多いと思います。これは「雲形肘木(くもがたひじき)」という飾り木で、その模様は大工さんによって様々です。雲形肘木の模様を見れば、誰がこの建物をつくったのか判断できるほどこの肘木は大工さんのサインとなっています。飛騨古川の町を歩いていると、このような雲形肘木を普通の民家でも取り入れているということが分かります。雲形肘木を普段生活するような家に導入することは珍しく、それだけ飛騨古川の人々が伝統的な町並みを大切にしてきたということの証であると思います。

〇白川郷

 白川郷は急勾配の茅葺屋根が特徴的ですが、この屋根はどのように支えられていると思いますか。さぞや頑丈なつくりになっているかと思いきや、このような駒のような木一点で支えられているだけでした。しかしこの「駒尻」のおかげで地震が起きたとしても全体の建物が崩れる心配がないそうです。

〇高山

 高山陣屋の屋根を見ると木のパッチワークのようになっていて、思わずずっと見とれてしまいます。これは榑を使用した「板葺き」で、高山陣屋には長榑と半榑の二種類の葺き方が用いられています。

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